九州地方の写真
エリア | 都道府県 |
---|---|
九州地方 |
|
★福岡県
北部は日本海(響灘・玄界灘)、東部は瀬戸内海(周防灘)、筑後地方は有明海に面している。 県の中心部を筑紫山地が連なっており、筑後川・矢部川・遠賀川流域、宗像地域、京築地域では 平野が広がっており水田地帯が多い。
冬季の日照時間が短くその点では日本海側気候に近いが、各季の降水量分布は明確に太平洋側気候であり、 日本海側気候とは特に冬季の雨日数と降雪量の点で決定的に異なっている。冬日になることは少なく 気温自体は低くないが、北西の季節風が吹きつけ日照時間が少ないので体感的には本州同様に寒く感じられる。 強風・風雪・波浪注意報が発表されることも多く、強い冬型の時には暴風雪・波浪警報が発表される場合もある。 北西季節風の風上が対馬海峡であり吹走距離が短く雪雲が発達しにくいため平野部で積雪することは少ないが、 脊振山地周辺などでは雪が積もりやすく、60cm〜100cm程度積雪することもある。
梅雨明け後は最高気温が30°C以上の真夏日となることが多く、毎年数日はフェーン現象の影響で 35°C以上の猛暑日になる。福岡市の平年値(1981年 - 2010年の30年平均)は、 夏日132.4日、真夏日57.1日、猛暑日5.5日、熱帯夜33.2日、冬日4.3日、真冬日0.0日。 福岡市ではほとんど冬日にはならず、熱帯夜が非常に多いなどヒートアイランドの影響が大きくなっている。
★大分県
大分県は、瀬戸内海の西端に位置しており、気候区分上は瀬戸内海式気候から他の型への遷移域に当たる。
山地の占める割合が大きく、西部には九重連山、南部には祖母山・傾山がそびえる。 このうち九重連山の中岳は九州本土の最高峰である。 平野部は北部の中津平野、中部の大分平野、南部の佐伯平野など限られた地域に分布している。 海岸部は、北部から西部で瀬戸内海(西部は周防灘(豊前海)と呼ばれる。)に面する。 中部では豊後水道を挟んで四国地方に接しており、その最狭部の豊予海峡の幅は10kmほどである。 南部の日豊海岸にはリアス式海岸が発達している。
★佐賀県
佐賀県は、日本の中では比較的気候が温暖であるが、冬の寒さは緯度の割りには厳しく、 東京よりも寒い。2016年1月25日には県内全観測地点で真冬日を観測した。日本を広域的に見た場合、 県内全域が太平洋側気候に入るが、北部の玄界灘沿岸部は曇が多いが、降水量の面で日本海側気候とは 明確に異なる。台風の通過・被害が多いが、九州のほかの県と比べると少ない方である。
県の形は凹凸のある逆三角形に近い。北西部はリアス式海岸と砂浜の玄界灘、南東部は干潟と 干拓地の有明海という、海岸の様子が全く異なる2つの海に接している。有明海沿岸から筑後川沿いには 県の面積の3割を占める佐賀平野が広がり、玄界灘から佐賀平野西部までは杵島丘陵などの丘陵地帯である。 北東部に脊振山地、南西部に多良岳山系といういずれも1,000m級の山地があって丘陵地帯を挟んでいる。
★長崎県
南西方向から暖流の対馬海流が流入してくるため、全般的には気候は温暖で、寒暖差も小さい。 しかしながら、大陸に近いために寒波の影響を受けやすく、平年を大きく下回るほどに寒さが厳しくなることもあり、 真冬日が観測されることもある。冬場は東シナ海側を中心に曇りがちの天気になることが多く、 時雨や雪を降らせることがある。積雪することは少ないが、すぐ西側は東シナ海なので季節風の 風向によっては、雪雲が遮られずに供給されることにより、大雪となることがある。
特に2001年(平成13年)1月16日には長崎市で14cmの積雪を観測し、さらに2016年(平成28年)1月24日には 17cmの積雪を記録し、県内各地で大雪となった。しかし、九州地方最北端の対馬では朝鮮半島の すぐ南側に位置するため、東シナ海で発生した雪雲は朝鮮半島に遮られる上、朝鮮半島との 海上区間はわずか50km程と極端に短いため雪雲は発達せず、降雪日は多いものの積雪することは稀である。
生物的見地から見ると、各地の海岸に見られるアコウなどの亜熱帯性植物は温暖な気候を反映している。 他にも大陸に近いためツシマヤマネコやムツゴロウなどの大陸系遺存種が多いこと、各地の離島で多くの 亜種・変種が確認されていることなども特徴である。
★熊本県
九州本島の中央部に位置し、福岡、大分、宮崎、鹿児島の各県と境を接する。海上で有明海を隔て長崎県とも接する。 東部の阿蘇地方に日本第2位の阿蘇カルデラを持つ阿蘇山や九州山地の山々が聳え、西部は熊本平野が有明海に、 八代平野および芦北地方のリアス式海岸が不知火海に面する。その間に宇土半島が突き出し天草諸島に続いている。 中心都市である熊本市は、市域の70万人超の人口を支える水道水が全て地下水でまかなわれている 世界でも稀有な都市である。
熊本地方 熊本市の年平均気温は約16 - 17℃である。有明海に面しているが、熊本平野は金峰山と阿蘇山との間で 盆地を形成するため、内陸型気候に近い。夏場は気温が35℃を越す猛暑になることも少なくなく、 夕刻には『肥後の夕凪』と呼ばれる無風状態となるために非常に蒸し暑い。2005年には年間106日の 真夏日を記録している。梅雨期の6月・7月には年平均降水量約2,000mmのうち約40%が集中する。 冬は降雪や積雪は少ないが朝方の冷え込みが厳しく、1981 - 2010年の統計によると1月は平均12.4日が 最低気温0℃以下の冬日となる。
阿蘇地方 山地型気候で、九州随一の寒冷地である。冬は九州山地や阿蘇山では毎年多量の積雪となるが、 中国地方以東のように豪雪地帯には指定されていない。最低気温も氷点下まで下がることがほとんどである。 寒気が流れ込むと阿蘇山上では稀に−15℃程度まで気温が下がる。 夏は熊本市周辺が35℃以上の 猛暑であっても20℃台の気温が続く冷涼な気候である。阿蘇山上で気温が30℃に達することはない。 降水量も多く年間を通して2,800mm程度と多雨である。
★宮崎県
全体的に日照時間・降水量ともに全国で上位で、特にえびの高原、鰐塚山の降水量は日本有数となっている。 平野部での降雪・積雪は稀であり、宮崎市の気象台では初雪が観測されない年がある一方、 九州山地では積雪する地域があり、日本最南端の天然スキー場もある。標高1150mにあるえびの高原は 九州屈指の寒冷地とされ、1968年2月26日には−20.2°Cという九州地方における最低気温を記録している。 夏は季節風の南東風により蒸し暑い状態が続くものの、海風であるためそれほど高温にはならない。 むしろ九州山地などを吹き降ろす南西風が多くなる梅雨末期の方が高温である。
夏から秋にかけては台風が襲うが、台風本体が接近していない段階から湿った東風により長期間雨に 見舞われることが多いため、被害がさらに拡大することもある。冬は乾いた西風が卓越し、快晴の日が多い。
国内で冬に多照となる地域では最も暖かいこの気候を利用し、スポーツチームのキャンプやゴルフ客が多数訪れる。 宮崎市以南の日向灘沿岸には無霜地帯が存在する。
★鹿児島県
鹿児島県本土は冬は温暖で、夏は日照時間も多いが降水量は多い。南国のイメージが強いが、 薩摩半島は東シナ海に面するため、大陸からの寒気の影響を受けやすく、時に厳しい寒さとなることがある。 冬は季節風の風向次第では多量の雪雲が供給されるため鹿児島市の中心部でも積雪に見舞われることがあり、 2011年1月1日には鹿児島市内でも25cmの積雪を観測するなど、九州の県庁所在地の中で最も積雪する回数が多い。
本土は、霧島山を除けば大部分はシラス台地の地質からなっており、水はけがよく非常に脆い。 また、低地や平野が極端に少ないために、県内のほとんどの市町は周囲が山に囲まれている。 それ故に各市町は本土の各地に点々と散らばっている。 島数は605個あり、薩南諸島は種子島、屋久島を含む大隅諸島、トカラ列島、奄美群島からなる。 最北端は獅子島、最南端は与論島で、また有人島最大は奄美大島、有人島最小は新島である。 活火山桜島などの火山もあり、温泉の数も多く、泉源数は約2,730で、大分県に次いで全国2位で 県内の入浴施設のほとんどが温泉である。
★沖縄県
日本国内における気候区分では南日本気候に属する。
宮古島・多良間島・石垣島・西表島・与那国島・波照間島・沖大東島は熱帯性気候で気候区分では熱帯雨林気候に、 それ以外の地域では亜熱帯性で温暖湿潤気候 (Cfa) に属する。沖縄県各地方ともに高温多湿で 年間降水量は2,000mm以上で、年間平均気温は約22°Cとなっている。しかし、最高気温が 35℃を超える猛暑日になることはほとんど無い。これは、沖縄は陸地面積が狭く周りを海に囲まれていること (海洋性気候)から、フェーン現象や晴天弱風と都市化がもたらす大規模なヒートアイランド現象のような 要因がないためである(但し都市部での小規模なヒートアイランド現象の研究報告はある)。 また沖縄は台風銀座と呼ばれており、毎年多くの台風が接近する。月別で注目すると、 降水量は梅雨入りの平均期間である5月と台風が多く接近する8月に多い。また、日照時間は7月に長く、 冬期の1月・2月では短い。
琉球諸島は太平洋側の琉球海溝と東シナ海側の沖縄トラフに挟まれる。琉球海溝は フィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込むことによりできたもので、 これは南海トラフと同様の成因である。また背海盆沖縄トラフはユーラシアプレートが 新しい時代に引き裂かれて陥没した1000~2000mの窪みであり熱水鉱床などがみられる。 地質的には琉球列島(諸島)のうち沖縄島と奄美大島はケラマ海裂とトカラ海峡とに挟まれた中琉球と呼ばれ、 島は海洋地殻の上に海洋地殻の付加体(海洋地殻の陸側斜面となるユーラシア・プレートの下に フィリッピン海プレートが沈み込むときに、海溝の陸側斜面ユーラシアプレートの端に押し付けられて 隆起した海洋地殻の上の堆積物)で構成され、さらに3億~5000万年前の古い付加堆積物で作られる沖縄島北側と、 500万年前に作られた現地性堆積物により構成される沖縄島南側に大きく分けられる。