むかしむかし、ラクダさんがいました。 ラクダさんは、草原で暮らしていました。 草原には、恐ろしい猛獣のライオンさんやワニさんも暮らしていました。 ラクダさんの親戚や仲間達は、猛獣に食べられて数がとても少なくなってしまいました。 ご近所さんのシマウマさんは、とても速く走れるので、猛獣から逃げることができました。 別のご近所さんのキリンさんは、とても身体が大きいので、猛獣を追い払うことができました。 ラクダさんは、速く走ることも大きくなることもできません。ラクダさんは思いました。
「猛獣がいないところに行きたい・・・。」
ラクダさんは、何日も何日も歩きました。歩いて歩いて遠くへ行きました。 ラクダさんは、遂に猛獣のいないところにたどり着いたのです。 そこは猛獣がいない代わりにとても暑いところでした。 雨が降らないので、お水や食べ物が少ししか有りません。 ラクダさんは、とてもお腹がすきました。 強い砂嵐が吹いて、ラクダさんは立っているのもやっとでした。 ラクダさんは、振り返って考えました。
「草原に帰ろうか・・・。」
その時、不思議なことが起こりました。ラクダさんの背中にコブができたのです。 コブには、お水を貯めることができるようです。 また、ラクダさんの口は硬くなって、トゲのある植物でも食べることが出来るようになりました。 トゲのある植物の中にはお水がたくさんありました。 ラクダさんは、お腹いっぱい食べて、背中のタンクにお水をたくさん貯めました。 ラクダさんはまつ毛が長く伸びて、砂が目に入りにくくなりました。 ラクダさんの足の裏は分厚くなって、地面が熱い日でも立っていられるようになりました。 強い砂嵐の日には、ラクダさんは仲間達と集まりました。 背中のタンクのせいで、ラクダさんは重たくなっていましたので、風が強くても平気でした。 何より仲間達と一緒にいられて、ラクダさんは幸せでした。ラクダさんは思うのです。
「ここで生きていこう。」